加速する体重増としまなみ海道・亀老山ヒルクライム(後編)
・
■亀老山ヒルクライムスタート
ということで、前回のつづきです。
もうね、いきなり坂です。
っていうか、ここからはずーーーと上り坂が続きます。
寝起き30分の体にこの坂はあまりにキツい。
あっという間に後悔しましたが、ここで帰ると二度と亀老山に自転車で上ろうなんて思わないでしょう。
半泣きになりながらギアを軽ーくして地道にキコキコと上っていきます。
男らしいですね。
それにしても幸いだったのが、他のサイクリストや散歩の方がいなかったことです。
ゼーゼーと自分でも驚くほどの呼吸音を発しながら自転車に乗っていても誰にも嗤われないのです。
ヒャッホーッ♪
兄貴、喘鳴し放題ですよ!
汗だくになりながらもことさら大きくゼーゼーと呼吸音を発し、満喫します。
それにしても、このようなストレス解消法があったとは。
本でも書こうかな。
「あなたも必要以上に呼吸音を発し、ストレスを解消しよう!」
「誰でもできる! むしろ体力がない方が好都合!」
「ヨガなんてもう古い! これこそ新しい呼吸法!」
「ストレス解消効果がハンパない! 気をつけるのは周りに人がいないかを確認するだけ!」
「敢えて人前でやることで、また違ったストレス解消法となる!」
・・・。
いや。
あかん。
こんな本100%売れない。
■対向車とカップル
文字通り森閑とした中に私の呼吸音だけが響きます。
が、時折、上から車が下りてきます。
こっちは汗だくで必死の形相で自転車を漕いでいるのですが、静かなので、車が来るとすぐに気づくので安心です。
車が来たその瞬間だけ顎を引き、俯き気味にして、普通の表情を作り平静を装います。
これで車の中で、
「パパ! あの人、死にそうな顔して自転車に乗ってたね!」
「そうだねぇ。マー君はあんな大人になっちゃダメだよ」
「はーい! あんなに必死なのに自転車超遅かったね!」
「そうだねぇ。マー君はあんな大人になっちゃダメだよ」
「はーい!」
といった会話になることはないでしょう。
ひと安心。
■かなり上って、もう勘弁してくれと思ったころにこのような看板がありました。
実は、この前に”あと2km”の看板もあったのですが、更にここから倍の1km。
しかし、ここまで来たらもう引き返せません。
残り1kmの激坂を上ってやろうじゃないですか。
そして、なんども挫けそうになりましたが、遂に山頂付近のビューポイントに到着。
■まずはGIANT様を撮影。
ハンドルのバーテープが剥がれてきたので、白いテープで留めているのが何ともダサい。
■ここからの景色。
なんとか夕暮れに間に合いました。
少しゆっくりしようかと思ったのですが、なんと前方からうら若いカップルが手をつないでやってきたではありませんか。
これはいかん。
この先の山頂の展望台と違い、ここのビューポイントはほぼ人がいないので、このカップルは人気を避けて、わざわざやってきたのでしょう。
どうか貴兄らもこの純朴な青年の気持ちになってみてください。
今日は初デート。
初めてできた愛しい彼女と美しい夕陽を眺め、ロマンティックな気分に浸ろうと思ってやって来ました。
雲ひとつない天気で、もう最高です。
ところがなんということでしょう。
こともあろうに呼吸の荒い小太りの汗だくのおじさんが、ニヤつきながら自分の自転車の写真を撮影しているではありませんか。
「最悪や…」
青年の絶望の声が私にも聴こえてくるようです。
私はまったく悪くはないのですが、何故か申し訳ない気持ちでいっぱいになり、カップルから逃げるように自転車に跨り、山頂へ向かいました。
■亀老山展望公園到着
■いろいろありましたが、最後のひと坂を必死で上って、ようやく到着。
あー疲れた。
しかし永遠に続くかと思われた亀老山の坂でしたが、上ってみれば恐らく20分くらいでしょうか。
たった20分の運動では到底痩せることなどできるはずもなく、徒労という文字が頭にチラつきます。
やれやれ。
■入口辺りに亀の石像がありました。
なぜか頭に大量の小銭が。
何かご利益でもあるのでしょうか。
■入口。
この展望台は建築家の隅研吾氏の設計で、建築物なのに「建築を消そう」という凄まじく格好いい試みで作られたそうです。
山頂部分を削り、建築物を作り、また山の形に修復したので、ぱっと見は外からだと展望台があると気づきにくいのです。
その結果、自然の景観を損なうことなく素晴らしい展望台ができました。
作るの大変だったでしょうね。
■山の中にコンクリートの格好いいデザインの展望台があります。
地域おこし協力隊としてしっかりと大島の名所のPRもできたところで、まずは夕陽と反対側の展望台へ。
■今治市内や四国方面の景色です。
あんなにビルが。
大都会ですね。
そして、いよいよサンセットビューポイントの方へ向かいます。
が、さっきから若者の集団がなんだか騒いでいるのが気になります。
■左側の人の影がうるさい若者たち。
ただ、逆光でなんだか格好良く撮れてしまいました。
癪ですね。
せっかく美しい景色を見るために必死に自転車を上ってきたというのにギャーギャーと騒がれたら、何だか台無しです。
やーね。
が、こっちも汗臭くて薄汚いのでお互い様といったところでしょうか。
しばらくすると、徐々に人も増えてきたので、若者たちも時折大声で騒ぎますが、少し大人しくなりました。
まぁ、これなら許容範囲です。
■写真なら良いですが、実際はまだ眩しくてまともに見れませんでした。
サングラス必須ですね。
■ようやく夕陽らしくなってきて、目を細めなくても夕陽を見ることができます。
ザ・しまなみ海道といった景色。
実際ここからの写真はよく見かけますね。
■そして更に夕陽は沈み、いよいよ消えていきます。
■帰宅&プチ宣言
さて。
他の観光客の皆さんはまだ夕陽を見ていますが、唯一自転車で来ている私はとっとと帰らなければなりません。
山道の漆黒の闇を自転車で下りる恐怖は考えただけでゾッとします。
あんなに苦労したのに下りはあっという間。
山を下りたらのんびりと家まで帰ります。
■太陽は沈みましたが、逢魔が時で、空はオレンジでとても綺麗です。
■展望台の遠くからの景色も良いですが、海の近くの景色もステキです。
なにより、物音ひとつせずとてつもなく静かです。
ということで、無事に帰宅できました。
亀老山の坂は凄まじくしんどかったのですが、これくらいでは当然ながら体重は減りません。
ということで、ブクブクと豚のように太ったお腹を改善すべく、プチダイエットを敢行することにします。
プチね、プチ。
まずは半額惣菜でついつい買ってしまう揚げ物の禁止という苦渋の決断。
おかずはなるべく野菜中心。
どうしよう、痩せちゃう。
これできっと数か月後には、
「あんなに痩せて、ヒョードーは大丈夫なのか?」
と皆さん心配しだすことでしょう。
それにしても亀老山に行ってきましたっていう内容を書こうと思っただけなのに、気づけば凄まじい長文になっていました。
おかげで前編・後編と分けてしまいました。
どなたか私に文章をまとめる力をくれないものか。
今度、亀老山に行ったら亀に小銭を置いてお祈りしてみましょう。
お付き合いありがとうございました。
ではまた。