しまなみ海道 エメリヤーエンコ・ヒョードー ブログ

東京からしまなみ海道の大島に移住しました

しまなみ海道上級者向け 大島の隠れビーチ

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ご無沙汰しております。

まだまだコロナはおさまりませんが、先輩方はお元気でしょうか。

 

非常事態宣言真っただ中、”〇〇バトン”というのがじんわりと流行っていたのを覚えていますか?

 

まったく他人事だと思ってFacebookなどを涎を垂らしながら眺めていたのですが、なんと驚いたことに私にプッシュアップバトンなるものが回ってきたのです。

 

これには困惑しました。

皆さまのプッシュアップバトンを見てみると、どなたも誰かが撮影をしているのです。

ところがなんと現在私は今治市大島でひとりで暮らしており、誰も私のプッシュアップなどを撮影してくれる人などいないのです。

いや、もちろん大島で知り合った方も多くいますが、まだ私が頭がおかしいことを知らない皆さまに、突然そのようなことをお願いできる筈もありません。

 

どうか貴兄らもぜひ静かに目を閉じて想像していただきたい。

4月から東京からやってきた何者とも知れぬ48歳の胡散臭い中年男性が、
「ぜひとも私のプッシュアップをする姿を一緒に撮影してくれないでしょうか」
などと突然話しかけてくるのです。

頭が狂っていると思われます。

 

とはいえ、せっかく私ごときにも声をかけてくれたので、どうしたものかと懊悩していたのですが、グラバカジムのヅカマニアのオービス・スズキ氏が、
「せっかく島に居るのなら海で撮影してこい」
とアドバイスをくれたのです。

 

なるほど。

初めてオービス・スズキ氏の発言に納得しました。

 

確かに島で孤独に暮らす48歳の小太り男性が、自室でひとりノリノリで腕立て伏せをする姿はあまりに悲しい

 

しかし、ならどうでしょう。

きっと私の哀愁を自然が優しく包んでくれることでしょう。

 

とはいえ。

迂闊にその辺の海岸で撮影はできません。

 

「ねぇねぇ、4月に東京から来た地域おこし協力隊の人がいるじゃない」

「知らない」

「いるのよ。 妙に胡散臭い人が」

「え? 何よそれ。 で、ソイツがどうしたのよ」

「…こないだね、海岸でね、自撮りしてたのよ」

「それはまぁ胡散臭いけど、自撮りぐらいすることもあるんじゃない?
きっと自分が大好きなのよ」

「うん。私もね、自撮りしてるだけなら気にしないんだけどね…」

「・・・・・・なに?」

「ソイツね、何だかニヤつきながらね、腕立て伏せをしている自分を嬉しそうに撮っていたの! しかも動画を!」

「なにそれ! 超キモいんだけど!」

「でしょ! アタシ悲鳴を上げながら走って逃げたわよ」

「何なのよソイツ!
ちょっとアンタ! そんな動画どうするのよ!」

「知らないわよ、アタシは!」

 

このように地元の方々をパニックに貶めてしまうのです。

これは避けたい。

そこで、私は恐らくそうそう人が来ることはないと思われる海岸で撮影することにしたのです。

 

「しまなみ島走BOOK」というガイドブックには、<戸代鼻のかくれビーチ>という名称で載っていました。

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ここしかありません。

なんせ隠れているのです。

ここなら一人で動画を撮影しても、狂ったようにダンスを踊っても、「キエー!」と叫びながら焼けた石に地獄突きの練習をしてもきっと大丈夫です。
しないけど。

っていうか、意味が分かりませんよね。
スミマセン。

ということで、出発です。

 

■島の東側の友浦という地域までやってきました。

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■この辺りの海岸にも既に誰も見当たりませんが、万がいち誰かが来るととてつもなく恥ずかしいので、やっぱりかくれビーチを目指します。
初志貫徹ですね。
なんて男らしいのでしょう。

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この戸代鼻のビーチですが、”かくれ”という名の通り、どうやら簡単には行けないようなのです。

何も考えずに愛機のGIANTのロードバイクでやって来たのですが、なんと途中から山道になったではありませんか。

当然ながら細いタイヤのロードバイクは山道なんて走ることはできません。

むしろ一番向いていないでしょう。

しかし定価15万円の愛機をその辺りに放っていく訳にもいきません。

仕方なしに自転車から降りて押して歩きます。

山道をロードバイクを押して歩くとは、考え得る中で最悪の部類に入るシチュエーションです。

やれやれ。

 

恐怖
道中、放棄された柑橘が猪に荒らされていました。
これはもういつ猪が出てきてもおかしくありません。

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猪に襲われる危険を冒してまで、腕立て伏せの動画など撮影する必要は1ミリもないのですが、とりあえず進みます。

 

とにかくもうヤケクソでどんどん山道を登っていきます。

しかしさすがにGIANT号を押して行くのも限界です。

仕方なしに愛機を残して更に進むことにします。

 

■さよなら。

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■しかし、5分ほど進むとなんと打ち捨てられた軽トラの亡骸があるではありませんか。

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あかん!

こんなところにGIANTちゃんを残してなんていける筈ないではありませんか!

ごめん!

ごめんよGIANT!

泣きながら小走りでGIANTちゃんのところに戻り、改めて押しながら山道を進みます。

 

しかし、山道はどんどん悪路となっていきます。

この格好良いGIANTちゃんが更に足手纏いになってきます。

「チッ! コイツさえいなければ…」

私の中で悪魔が囁きます。

そして遂に悪魔の甘言に負けて、GIANT様を山の中に放置してやりました。

自分が楽をしたいがために愛機を打ち捨ててやったのです。

人の姿をした鬼畜となり果ててしまった私は、何が何でも戸代鼻のかくれビーチとやらに行くしかもう道はないのです。

 

それにしても。

 

何が悔やまれるといえば、何も考えずにビンディングシューズを履いてきてしまったことです。

 

奥さん、知ってます?

ビンディングシューズって。

 

ロードバイク用のシューズなのですが、なんと靴底に金具が付いているのですよ。

これがですね、奥さん。

凄まじく歩き辛いのですよ。

 

スパイクのような金具ならまだしも、靴底の真ん中に金具が付いているのでもう邪魔で邪魔でしかたありません。

むしろよくここまで、こんな靴でロードバイクを押しながらやってきたものです。

 

■クソ暑い中をとにかく意地になって山道を延々と進みます。
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そして、遂に。

 

■遂にかくれビーチが見えてきました。

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やったよ。
やったよ母さん。

猪の恐怖やビンディングシューズの歩きづらさにもボク負けなかったよ。

 

■ようやく到着。

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■さすがに海はきれいです。
そりゃあそうですよね。
こんなところまで来て汚かったらやってられません。

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ここなら誰の目も気にせず、好きなだけプッシュアップができます。

イヤッホー!

 

いや。

 

自分で気づかないフリしていましたが、そもそも別に私は腕立て伏せをやりたい訳ではないのです。 

せっかくの祝日に私は一人っきりでこんなところでいったい何をしているのかと絶望感が押し寄せてきますが、心を無にして腕立て伏せをしました。

更にこんなに頑張って一人っきりで撮影をしたというのに、撮影した動画にはブンブンと蠅がたかっていやがったのです。

こんな秘境までやってきて狂ったように腕立て伏せをしているのに、結果、完成した動画は、蠅が舞う姿が何とも物悲しい作品に仕上がっていたのです。

こんな切ないことがあるでしょうか。

 

もう撮り直す気力も失せ、帰ることにしました。

 

■また荒れた山道を引き返す絶望感よ。

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■山だから涼しいだろうとお思いでしょうが、めちゃくちゃ良い天気で、とてつもなく暑かったです。

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汗だくになりながら復路を無心であるいていると、どこからかシクシクと咽び泣くような声が聞こえてきました。

 

・・・・・・!!


・・・GIANTちゃん!

 

■小走りで向かうとそこには、私の帰りを待つ孤独に震えるGIANTちゃんが居たではありませんか。

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そして、GIANTと仲良くまた友浦まで戻ってきました。

グダグダで蠅がたかっていましたが、とりあえずは動画も撮れたし、きれいな海にも行けたしまぁまぁの達成感で帰路に就くことにしました。

 

が、あんなに苦労をしてきれいな海岸まで行ったというのに、なんと家から自転車で10分程のところで、しかもちょっと隠れたところにとてもキレイな海岸がありました。

 

「ここでええやないか…」と呆然と5分ほどたたずみました。

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徒労という言葉が脳裏に浮かびましたが、もうそこは気づかないフリをするしかありません。

 

まぁ、大島の隠れたスポットを紹介できたということで、地域おこし協力隊としてはOKではないでしょうか。

 

え? そんなことはない?

 

あそう。

 

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